北海道の患者さんにいつでも最高の医療を

このたび北海道大学病院呼吸器外科学教室が独立した教室として開設されましたが、これは我々の偉大な先輩たちが志を同じくする若手を育て、実力・実績を着実に築きあげてきた長い歴史・伝統の賜物であります。私はその初代教授として着任いたしましたが、その重責に身の引き締まる思いです。

時代とともに肺癌手術は増加し、私が入局した頃より肺癌手術数は3倍近くに増加しています。北大病院と19の呼吸器外科関連施設を合わせると、現在年間2,700例近い全身麻酔手術が施行され、うち肺癌が約1,400例を超えています。北海道の患者さんに最高の最先端医療を届けるべく、これまで以上に教室員とともに尽力して参ります。また、北海道におけるがんゲノム医療中核拠点病院として、個別化医療の実践、新たな治療法の開発を推進していく所存です。

我々に与えられた当面の課題の一つは、北海道における肺移植の実現です。現在わが国における肺移植認定施設は10施設ですが、道内に認定施設は一つもなく、北大で肺移植が実現いたしますと、全ての臓器移植が道内で完結できることになり、これは北大病院の責務とも考えます。院内の関係各科との連携をはかり、万全のチーム体制を整え、近い将来の肺移植の実施を目指して参ります。

教室の掲げるこの高い目標の実現には、情熱を持った多くの若い力が必要です。是非とも同じ志を持った多くの若者が教室の門を叩いてくれることを期待しています。

北海道大学病院呼吸器外科 教授
加藤 達哉